2009.12.16
『共生型介護』
先日TVで衝撃的な映像を見ました。
体の不自由な認知症の高齢者と統合失調症の5~6才の男の子のドキュメンタリーです。
共生型介護というタイトルで紹介されたこのケアホームには
ほとんど一日中座りっぱなしで、一人では立ち上がることができないおじいちゃんと
統合失調症の男の子が一緒に一つ屋根の下で暮らしていました。
おじいちゃんとこの男の子は大の仲良しで、いつもこの男の子はおじいちゃんの膝の上に
座っています(他の人のところには行きません・・・)
ところがある日、この男の子一人で二階に上がってしまいました。
するとそれを見ていたおじいちゃんは、一人で立ち上がり、
階段の手すりをつかまりながら、すいすいと軽い足取りで
男の子の後を追って二階へと上がって行ったのです。
日ごろは立ち上がるのにもヘルパーさんを呼んで起こしてもらていたおじいちゃんが、
男の子が階段から落ちたらどうしよう…と不安や心配の気持ちが湧き起こると
さっと一人で立ちあがり、二階まで歩いて行けちゃうんです。
『うわ~・・・』思わず私も声が出ました。
そしておじいちゃんはこの男の子を二階の部屋で見つけると、
『危ないからこっちへおいで~』と言って手を引いて歩いて下に降りようとしていました。
『おじいちゃんが立って歩いている!しかも二階まで自分の力で…』
これにはヘルパーさんたちもびっくりです。
高齢者の介護というと、ただ現状を維持するのが介護のあるべき姿でしたが、
こうして年齢や体の症状に関係なく、様々な状況の人が一緒に暮らすことで、
それぞれお互いの能力が引き出されて、一緒に助け合って
活き活きと暮らしていけるのですね。
人って本当に素晴らしいと思いませんか?
私たち一人一人の中には、本人も気がつかないような
素晴らしい能力が潜んでいるんです。
私たちは具合が悪くなると、悪い所にばかりフォーカスを当てて
まだ十分残っている(湧き出てくる)可能性や能力を見ようとしなくなります。
『健常者がスタンダード』として基準を設けているエゴに縛られたパラダイムですね。
おじいちゃんとこの男の子はちゃんと相手の能力を引き出しあって、
一緒に生きています。
一緒に暮らすって事の『一緒』の意味を教えてもらいました。
そして、これは現状を維持するのではなく、進化する介護です。
この男の子にとって、おじいちゃんは『温かいく自分を愛して守ってくれる存在』で
おじいちゃんにとってはこの子は『自分を頼りにして甘えてくれる愛おしい存在』です。、
共に暮らすこと&共に生きる事は質の高い活き活きとした人生を作っているようです。
体が弱くても、年をとっても、病気があっても、だからこそ一緒に
目の前の人のために貢献しながら暮らしていける・・・
こんな素敵な空間が沢山出来るといいですね。
日々の生活やセミナー等で出会った人との素敵なコミュニケーションの一コマをお伝えしています。
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