聴いてもらえると、心が開く!
「聴く」から始めるコーチング基礎トレーニング
――組織の意識と風土を変える、6回シリーズ 第1回
「コーチング」と聞くと、上司が部下に質問をして、答えを引き出すためのコミュニケーション技法をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、コーチングの基礎を学ぶうえで、まず身につけたいのは「質問する技術」ではなく、相手の話を聴く姿勢とスキルです。
今回からスタートしたのは、中小企業の管理職・一般職が一緒に取り組む、全6回のコーチング基礎トレーニング。目的は、特定の人だけがコーチングを使えるようになることではありません。
一人ひとりのコミュニケーションのあり方を見直し、「教える・指示する」だけではない関わり方を職場に広げ、組織の意識と風土を少しずつ変えていくことを目指しています。
第1回のテーマは「聴く」
コーチングでは、相手に「どう答えを出させるか」よりも前に、**「相手の話をどのように聴いているか」**が重要になります。
特に職場では、上司や先輩が相手の話を聞きながら、
「それなら、こうすればいいよ」
「私の場合はこうだった」
「それは違うんじゃない?」
「まず○○をやってみて」
と、すぐに解決策を伝えてしまうことがあります。
もちろん、必要な場面で教えることや助言することは大切です。
一方で、相手が自分で考える機会を持つ前に答えを与えてしまうと、
「考える」よりも「教えてもらう」ことが中心になる場合があります。
コーチングの基礎トレーニングでは、こうした日常のコミュニケーションを一度立ち止まって見直していきます。
「聴く」は、何もしないことではない
今回のワークでは、あえて「良い質問をする」ことを目標にしませんでした。まずは、
- 相手の話を途中で遮らない
- すぐに自分の経験を話さない
- 相手の言葉を評価・判断しない
- 次に何を言うかを考えながら聴かない
- 沈黙を急いで埋めない
- 相手の言葉や表情、声の変化にも意識を向ける
といった基本的な「聴く」行動に集中しました。
すると、自分自身の聴き方の癖に気づく参加者も少なくありませんでした。
「相手の話を聴いているつもりで、次に何を言うか考えていた」
「つい自分の経験を伝えたくなる」
「沈黙があると、何か質問しなければと思ってしまう」
こうした気づきは、コーチングを学ぶうえで大切な一歩です。
「教える」と「引き出す」を使い分ける
コーチングは、ティーチングを否定するものではありません。
知識や経験が必要な場面では、教えることも重要です。
大切なのは、「いつでも教える」のではなく、「相手が自分で考えることが必要な場面では、聴くことを選択できる」こと。
例えば、部下が仕事の方法を知らないのであれば、まず教えることが必要です。
一方で、
「この仕事をどう進めようと思っている?」
「今、一番気になっていることは何?」
「あなた自身はどうしたい?」
と問いかけ、相手の考えを整理することが有効な場面もあります。
コーチングの基礎とは、質問のテクニックを増やすことだけではありません。
相手に合わせて「教える」「聴く」「問いかける」を選択できるようになること。
そのための土台が「聴く力」です。
管理職も一般職も、一緒に学ぶ意味
今回のプログラムでは、管理職と一般職が同じ場でワークに取り組みます。
これは、コーチングを「上司が部下に使う技術」に限定しないためです。職場では、上司と部下、先輩と後輩、同僚同士、部署を越えた関係など、さまざまなコミュニケーションが生まれます。
立場に関係なく、
「相手の話をまず聴く」
という共通のコミュニケーションが増えていけば、組織の中での対話の質も変わっていきます。
一人の管理職だけが変わるのではなく、組織のメンバーがそれぞれ自分のコミュニケーションを振り返る。
そこから、組織の意識や風土の変化につなげていくことが、今回の6回シリーズの大きな目的です。
「聴く」ことからGOODサイクルへ
人と人との関係に安心感や信頼が生まれると、自分の考えを話したり、違う意見を出したりしやすくなります。そこから新しい視点や気づきが生まれ、自分で考えて行動することにつながっていきます。
そして、その積み重ねが組織の成果や成長につながっていきます。
これは、私が研修や組織開発の中で大切にしている**「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質」というGOODサイクル**とも重なります。
だからこそ、今回の6回シリーズのスタート地点を「聴く」にしました。
6回を通して、少しずつ組織のコミュニケーションを変えていく
今回の第1回は、コーチングの技法をたくさん覚えることが目的ではありません。
まずは、自分自身の「聴き方」を知る。
そして、普段の職場でどのようなコミュニケーションをしているのかを振り返る。
その小さな気づきから、日常の関わり方を少しずつ変えていきます。
6回の学びを通して、一人ひとりのコミュニケーションが変わり、それが職場の対話を変え、やがて組織の風土の変化につながっていく。
このようなプロセスを、参加者の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。
コーチングの基礎は、「うまく質問すること」から始まるのではありません。
まず、相手の話を聴くこと。
第1回は、その基本に立ち返る時間となりました。
次回は、今回の「聴く」を土台に、さらに自分と相手の考えを整理していくコミュニケーションへと進んでいきます。

日々の生活やセミナー等で出会った人との素敵なコミュニケーションの一コマをお伝えしています。
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