ワークライフマネジメントとは、働き方を「組織任せ」にするのではなく、
従業員一人一人が、それぞれのライフステージに応じて自分のワークとライフが両方充実するように、
「自分自身で積極的にマネジメントしていく」ことです。
ワークライフマネジメントとは?
「ワークライフバランス」から「ワークライフマネジメント」へ
「ワークライフバランス」の実現に向けて、企業は様々な制度を導入し、女性の活躍推進や個人の自己実現にも力を注ごうという風潮がみられるようになりました。
しかし、この取り組みの結果「ワークもライフもほどほどに」というニュアンスが強くなり、「企業が従業員のために実施すべきもの」と認知されるようになってきました。
こような状況を改善するために取り組みたいのが「ワークライフマネジメント」です。
ワークライフマネジメントは、従業員が仕事と生活のバランスを誰かに準備してもらうという受け身の姿勢ではなく、自らが主体的に考え、個人の努力によって生活の質や企業の成長を高めていこうとする積極的な考え方です。
「受け身的な意味合いが強いワークライフバランス」から、「主体的な意味合いが強いワークライフマネジメント」へ舵を切るに、組織の「パラダイムシフト」が求められています。
「ワークライフバランス」と
「ワークライフマネジメント」の違い
ワークライフバランスは、もともと「仕事と生活を充実させる生き方」として推進されてきました。
しかし、ワークライフバランスが「消極的で会社に依存するような考え方」に変化してきたのに対して、
ワークライフマネジメントは「個人の努力によって生活の質や組織の成長をより高めていこうとする積極的な考え方」で、
その実現をサポートするのが組織の役割になります。
会社が何とかしてくれるはず・・・、でも具体的なワーク&ライフのバランスのとり方や理想の未来像が思い描けないので不安。働き方を会社や他人に決めてもらう受け身の姿勢。
取り組みの主体 | 企業・組織 |
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イメージ | ワークもライフもほどほどに… |
従業員の充実感 | 二者択一(犠牲・辛抱) |
モチベーション | 外的要因により一時的に上がる |
人材育成の観点 | 消極的・受け身な人材 |
リーダーシップ | リーダーが育たない |
働き方 | 条件に合わないと離職に繋がる |
企業の生産性 | 生産性は不安定 |
幸福度 | 心が不安定➡仕事に悪影響 |
ワーク&ライフの理想と現状のギャップを把握し、理想の未来像の実現に向けて両方を充実するように人生のハンドルを自分自身でしっかり握って積極的にマネジメントしている状態。
取り組みの主体 | 従業員 |
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イメージ | ワークもライフも成功させる! |
従業員の充実感 | 個人の幸福度アップ |
モチベーション | 内的要因によって上がる |
人材育成の観点 | 積極的・自律型人材 |
リーダーシップ | 様々なリーダーが育つ |
働き方 | 優秀な人材が働き続けられる |
企業の生産性 | 生産性が上がる |
幸福度 | 心の安定➡仕事に好影響 |
ワークライフマネジメントの
「メリット」と「ポイント」
主な7つのメリット
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ワーク&ライフ
の充実「仕事優先」ではなく、仕事も生活も積極的に充実させていくことで、個人の幸福度が上がります。結果として仕事に対する意欲や充実感が高まります。
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出産や育児・介護・病気等の
ケアが充実する産休・育休、病休や介護休暇語の職場復帰や、時短勤務ができる職場は、安心感と信頼感が生まれ優秀な人材を確保することへと繋がります。
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女性活躍に
繋がる性別にとらわれることなく活躍できる職場は、女性の管理職の増加、女性の地位向上へと繋がり、多様な価値観が新しいビジネス展開に役立ちます。
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優秀な人材が
長期間で活躍する優秀な人材の離職は企業にとっても大きな損失です。多様な働き方ができる職場は、高い能力と経験を生かしながら自社に貢献する人材を失わずに済みます。
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制度・人事評価制度が変わる
働いた時間の長さだけで評価するのではなく、いかに業務を効率化し、生産性を挙げたかを評価することで、個人の意欲を引き出し存在価値を高めます。
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社員の価値観・
組織風土が変わる自分自身で積極的にワークライフマネジメントすることで、個人の幸福度だけではなく組織への責任感も高まり、心理的安全性の高い職場風土を育みます。
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生産性の向上
社員自ら、勤務日や勤務時間を管理できることは、短い時間で効率的に集中して働く習慣が身につき、結果として組織全体の生産性が上がります。
実現に向けた「ポイント」
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従業員側
組織や誰かに言われて働き方を決めるのではなく、自分が将来どんな生活を望んでいるのかを明確にし、自分の望みを叶えるために自分で働き方をマネジメントする。
現状と理想のギャップを自ら把握し、理想に近づけるように働き方を変えていきます。
そのためには、自分が囚われているパラダイム=固定観念・思い込み・刷り込みをパラダイムシフトすることが必要です。 -
組織側
子育て世帯だけではなく、あらゆる年代層で必要なものだということ、仕事も生活も諦めず、両方充実させるものだというワークライフマネジメントの考え方を組織内に広めることが必要です。そのためには社員の意識改革と組織の風土改革に取り組む必要があります。
仕事優先、仕事のためなら生活を犠牲にしていい、個人の幸福よりは組織や周りの人の幸福を優先すべき、という従来の労働に対する価値観より、個人の幸福に重きを置いて従業員の幸福度を高める努力をする。